使い方ガイド公開日 読了目安 約10分

階級区分図の作り方|都道府県別データの色分けと区切り方の選び方

人口密度、平均気温、売上、アンケートの回答率など、都道府県ごとの数値を地図の色の濃さで表したものが階級区分図(コロプレスマップ)です。表で見るよりも地域の傾向がひと目で伝わる一方、データの選び方や区切り方を間違えると、事実と違う印象を与えてしまいます。この記事では、Excel のデータを貼り付けて階級区分図を作る手順と、自然分類(ジェンクス)・分位数・等間隔の 3 つの区切り方の違いを実際の数で比べ、段階の数・色・凡例の決め方までを解説します。

階級区分図(コロプレスマップ)とは

階級区分図は、地域ごとの数値をいくつかの階級(段階)に分け、階級ごとに色の濃さを変えて塗った地図です。英語ではコロプレスマップ(choropleth map)と呼ばれます。都道府県別の統計を見せるときによく使われ、社会科の教科書や白書、ニュースの図でもおなじみです。

作るときに決めることは、大きく 4 つです。①何のデータを使うか、②何段階に分けるか、③どこで区切るか、④どんな色にするか。とくに③の区切り方は、同じデータでも地図の見え方を大きく変えるので、この記事の後半でくわしく比べます。

都道府県別データで階級区分図を作る手順

  1. 1

    データを用意する

    Excel やスプレッドシートに、県名の列と数値の列を並べます。統計は e-Stat(政府統計の総合窓口)などの公的な統計から取ると、出典をはっきり書けます。

  2. 2

    「数値で塗る」を開く

    行った都道府県マップのモードを「数値で塗る(階級区分図)」に切り替えます。

  3. 3

    県名と数値を貼り付ける

    Excel の 2 列を選んでコピーし、「県名と数値を貼り付ける」欄に貼ります。1 行に 1 県で、タブ・カンマ・スペースのどれで区切られていても読めます。「東京」「東京都」のどちらでもよく、県コードの列が先にあってもかまいません。

  4. 4

    区切り方・段階の数・色を選ぶ

    区切り方(自然分類・分位数・等間隔)、段階の数(2〜7)、色(赤・青・緑・紫・オレンジ・青↔赤)を選びます。最初は自然分類・5 段階・赤になっています。

  5. 5

    見出しと出典を入れて保存する

    見出しと「出典・単位」(例:単位 人〈2020 年 国勢調査〉)を入れ、PNG か SVG で保存します。凡例と値の大きい順の表も表示されるので、確認してから保存しましょう。

  • 数値の桁区切りのカンマ(1,234,567)や全角数字もそのまま読みます。マイナスの値は「-」「▲」「△」で書けます。
  • 同じ県が 2 回出てきたときは、後の行の値を使い、そのことが画面に表示されます。
  • 値のない県は「データなし」として灰色で塗られます。

絶対数ではなく割合や「〜あたり」の数を使う

階級区分図で最も多い失敗が、人口や件数のような絶対数をそのまま塗ってしまうことです。階級区分図は県の面積いっぱいを同じ色で塗るので、人口の多い県ほど何でも大きな値になり、「人が多い県が濃い」だけの地図になってしまいます。

見せたいことそのまま塗ると誤解を招く値塗るのに向いた値
人の住み方人口人口密度(1 km² あたり)
病院の多さ病院の数人口 10 万人あたりの病院の数
事故の起きやすさ事故の件数人口 10 万人あたりの件数
売上の伸び売上の金額前年比の増減率(%)
回答の傾向「はい」と答えた人数「はい」の割合(%)

絶対数を見せたいときは、地図に数字そのものを書き込むか、県ごとに大きさの違う円を置く図のほうが向いています。どうしても階級区分図で絶対数を塗るなら、見出しに「人口(総数)」のように絶対数であることをはっきり書いておきましょう。

自然分類(ジェンクス)・分位数・等間隔の違い

区切り方区切りの決め方向いている場面苦手な場面
自然分類(ジェンクス)値が集まっているかたまりの切れ目で区切る差のある県のまとまりをはっきり見せたい年や資料をまたいで同じ区切りで比べたい
分位数どの階級もほぼ同じ県数になるように区切る上位・下位など順位を見せたい値の差が小さいのに色が大きく違って見える
等間隔最小〜最大を同じ幅で区切る値の幅そのものを見せたい、区切りの数字をきりよくしたい飛び抜けた値(外れ値)がある

自然分類(ジェンクスの自然分類、Jenks natural breaks)は、同じ階級の中の値のばらつきができるだけ小さく、階級どうしの差ができるだけ大きくなるように区切りを計算する方法です。データを見て「このあたりで分かれている」と人が感じる切れ目に近い区切りになります。行った都道府県マップでは、この計算を Fisher の動的計画法で厳密に解いています。

分位数は、値を小さい順に並べて県の数で等分する方法です。47 都道府県を 4 段階にすれば、各色がだいたい 12 県ずつになります。等間隔は、最小値から最大値までを同じ幅で区切る、いちばん単純な方法です。

同じデータで区切り方を比べてみる

違いを実感するために、2 つの例で区切り方を比べてみます。1 つ目は、各都道府県が陸でとなり合う県の数(0〜8 県)です。値は整数で、4 県の県が 18 もあり、同じ値が多いデータです。

区切り方(指定は 3 段階)区切り各階級の県数
自然分類0〜2 / 3〜5 / 6〜88 / 33 / 6
分位数0〜3 / 4 / 5〜820 / 18 / 9
等間隔0〜2.67 / 3〜5.33 / 6〜88 / 33 / 6

分位数は県数をそろえようとしますが、4 県という同じ値が 18 県もあるので、ぴったり 3 等分にはなりません。また分位数で 4 段階・5 段階を指定しても、同じ値は同じ階級に入れるため、この例では 3 段階にまとまります。同じ値の多いデータで段階が指定より少なくなるのは、このためです。

2 つ目は、1 つだけ飛び抜けた値がある例です。10〜120 の間に散らばった 24 の値と、1 つだけ 1,400 という値がある架空のデータ(東京都だけ売上が桁違い、のような状況)を 4 段階に分けると、次のようになります。

区切り方(4 段階)区切り各階級の数
自然分類10〜35 / 38〜70 / 76〜120 / 1,40010 / 9 / 5 / 1
分位数10〜25 / 28〜45 / 48〜70 / 76〜1,4007 / 6 / 6 / 6
等間隔10〜357.5 / …… / 1,40024 / 0 / 0 / 1

等間隔では、1,400 に引っぱられて 1 段階の幅が約 350 になり、24 の値がすべていちばん薄い色、1,400 だけがいちばん濃い色、中の 2 色には 1 県も入りません。地図はほぼ 1 色になり、10 と 120 の違いが見えなくなります。自然分類は 1,400 を単独の階級にしたうえで、残りを 3 つのまとまりに分けるので、外れ値以外の差も見えます。分位数は各色の数をそろえますが、76 と 1,400 が同じ色になり、外れ値の大きさは伝わりません。

段階の数と色の決め方

  • 段階の数は 4〜5 が目安:人が色の濃さを見分けられるのは 5〜7 段階ほどまでです。47 都道府県なら 4〜5 段階にすると、各色に十分な県が入り、凡例とも見比べやすくなります。
  • 値の大小を表すなら 1 色の濃淡:赤・青・緑などの 1 色で、小さい値ほど薄く、大きい値ほど濃くするのが基本です。
  • 増減やプラス・マイナスがあるなら 2 色:前年比の増減のように 0 をはさんで意味が変わるデータは「青↔赤(増減)」を使い、減少を青、増加を赤、真ん中を白っぽい色にします。
  • 小さいほうを目立たせたいなら色の向きを逆に:「色の向きを逆にする(小さい値ほど濃く)」をオンにすると、失業率の低さや待ち時間の短さなど、小さいほうが注目点のデータを強調できます。
  • データのない県の色:値のない県は灰色(データなし)になります。いちばん薄い階級の色と見分けがつくか、保存前に確かめましょう。

凡例と出典を忘れずに

階級区分図は、凡例がないと色が何を表しているか分かりません。行った都道府県マップでは、各階級の範囲(下限〜上限)と県の数が凡例として画像に入ります。そのうえで、次の 3 つを「出典・単位」の欄に書いておくと、資料として信頼される地図になります。

  • 単位:人、%、人/km²、円など。割合なのか絶対数なのかもここで分かります。
  • 時点:2020 年 国勢調査、2025 年度など、いつのデータか。
  • 出典:統計の名前や発表した機関。自分で集めたデータなら「〇〇調べ」と書きます。

数値ではなく「対応中・準備中」のようなグループで塗りたいときは白地図を都道府県ごとに色分けする方法を、例に使ったとなりの県の数の一覧は隣接する都道府県の数一覧をご覧ください。

よくある質問

階級区分図は無料で作れますか?
作れます。行った都道府県マップの「数値で塗る」に、Excel などから県名と数値の 2 列を貼り付けるだけで、区切り方・段階の数・色を選んだ階級区分図ができ、凡例つきの PNG・SVG で保存できます。登録は要りません。
自然分類(ジェンクス)とは何ですか?
同じ階級の中の値のばらつきが小さく、階級どうしの差が大きくなるように区切りを計算する方法です。値が集まっているかたまりの切れ目で区切るので、差のある県のまとまりがはっきり見えます。
等間隔と分位数はどう使い分けますか?
値の幅そのものを見せたい、区切りをきりのよい数字にしたいときは等間隔、上位・下位などの順位を見せたいときは分位数が向いています。飛び抜けた値がある場合、等間隔ではほとんどの県が同じ色になるので注意してください。
段階の数を5にしたのに4段階しか出ません
同じ値の県が多いと、同じ値は同じ階級に入れるため、指定より少ない段階にまとまることがあります。たとえば、となりの県の数(0〜8 の整数)を分位数で 5 段階にすると 3 段階になります。自然分類や等間隔に切り替えると段階が増えることがあります。
人口をそのまま塗ってもいいですか?
階級区分図では、人口や件数のような絶対数より、人口密度や人口 10 万人あたりの数、割合(%)のほうが向いています。絶対数を塗ると人口の多い県が濃くなるだけで、見せたい傾向が伝わりにくくなります。

この記事で紹介したツール

あわせて読みたい

使い方ガイド約9分

行った都道府県マップの作り方|白地図を塗って制覇率を出す方法

「47 都道府県のうち、自分はいくつ行ったことがあるんだろう?」と思ったら、日本地図を塗ってみるのがいちばん早い方法です。数えるだけなら指を折れば済みますが、地図にすると、どの地方が空白なのか、次にどこへ行けば効率よく埋まるのかが一目で分かります。この記事では、行った都道府県マップを作る手順と、「行った」に数えるかどうか迷うケースの線引き、制覇率の計算のしかた、画像にして SNS で共有するときのコツまでをまとめます。

記事を読む →
仕組み解説約8分

隣接する都道府県の数一覧|一番多いのは長野県の8県

陸でとなり合う都道府県がいちばん多いのはどこか、知っていますか。答えは長野県で、8 つの県と県境を接しています。反対に、北海道と沖縄県は陸でつながる県がなく、長崎県は佐賀県 1 県とだけ接しています。この記事では、47 都道府県それぞれが陸でいくつの県と接しているかを一覧にし、多い県・少ない県の理由、海をはさんだ関係の扱い、海なし県、そして全県制覇の旅でとなりの県の数をどう生かすかまでを解説します。

記事を読む →
仕組み解説約8分

経県値のような旅の点数の数え方|235点満点の目安と称号

行った都道府県の数だけで比べると、1 回乗り換えで降りただけの県も、何年も住んだ県も同じ「1 県」になってしまいます。そこで、住んだ・泊まった・遊んだ・降り立った・通過の段階ごとに点数をつけて合計するのが、経県値(けいけんち)として知られる数え方です。この記事では、行った都道府県マップの「旅の点数」の計算方法と 235 点満点の意味、点数ごとの称号の目安、実際の計算例、点数を上げるための旅の組み立て方を解説します。

記事を読む →