寸勾配は何度?|3寸・4寸・5寸勾配の角度と伸び率の早見表
屋根の見積もりや図面で「4寸勾配」「5/10」と書かれていても、それが何度なのか、どれくらい急なのかはすぐにはわかりません。この記事では、寸勾配の意味と角度への直し方、1寸〜12寸の角度・%・伸び率・隅の伸び率の早見表、屋根材ごとに必要な勾配の目安、伸び率を使った屋根面積や垂木の長さの出し方をまとめます。
寸勾配とは「10寸進んで何寸上がるか」
寸勾配は、水平に10寸(1尺)進んだときに何寸上がるかで傾きを表す、日本の建築で古くから使われてきた書き方です。4寸勾配なら、水平に10進むあいだに4上がる傾きで、図面では「4/10」や「4寸」と書かれます。高さと水平の割合だけを表しているので、寸のほか cm や m で考えても同じで、水平に1m進んで40cm上がる屋根も4寸勾配です。
角度に直すときは、高さ÷水平(4寸勾配なら 4÷10=0.4)を逆正接(arctan)に入れます。arctan(0.4)≒21.80° なので、4寸勾配は約21.8°です。%(パーセント)で表すと「高さ÷水平×100」なので、寸の数字に10を掛けた値がそのまま%になります。4寸勾配は40%、5寸勾配は50%です。
寸勾配の角度・%・伸び率の早見表
住宅の屋根でよく使われる1寸〜12寸を一覧にしました。伸び率は水平の長さ1に対する斜面の長さ、隅の伸び率は寄棟屋根の隅木(四隅に斜めに入る部材)の長さを出す係数です。どちらも次の章で使い方を説明します。
| 寸勾配 | 角度 | % | 伸び率 | 隅の伸び率 |
|---|---|---|---|---|
| 1寸(1/10) | 5.71° | 10% | 1.0050 | 1.4177 |
| 1.5寸 | 8.53° | 15% | 1.0112 | 1.4221 |
| 2寸 | 11.31° | 20% | 1.0198 | 1.4283 |
| 2.5寸 | 14.04° | 25% | 1.0308 | 1.4361 |
| 3寸 | 16.70° | 30% | 1.0440 | 1.4457 |
| 3.5寸 | 19.29° | 35% | 1.0595 | 1.4569 |
| 4寸 | 21.80° | 40% | 1.0770 | 1.4697 |
| 4.5寸 | 24.23° | 45% | 1.0966 | 1.4841 |
| 5寸 | 26.57° | 50% | 1.1180 | 1.5000 |
| 5.5寸 | 28.81° | 55% | 1.1413 | 1.5174 |
| 6寸 | 30.96° | 60% | 1.1662 | 1.5362 |
| 7寸 | 34.99° | 70% | 1.2207 | 1.5780 |
| 8寸 | 38.66° | 80% | 1.2806 | 1.6248 |
| 9寸 | 41.99° | 90% | 1.3454 | 1.6763 |
| 10寸(矩勾配) | 45.00° | 100% | 1.4142 | 1.7321 |
| 12寸 | 50.19° | 120% | 1.5620 | 1.8547 |
角度から寸勾配を知りたいときは逆に tan を使い、寸=tan(角度)×10 で求めます。30°は約5.77寸、35°は約7寸、20°は約3.64寸です。太陽光パネルの設置角度や屋根の写真から測った角度を寸勾配に直すときに使えます。
緩勾配・並勾配・急勾配と、矩勾配・返し勾配
屋根の勾配は、その急さによって呼び方が変わります。境目は会社や資料によって少しずつ違いますが、おおよそ次のように分けられます。
| 呼び方 | 勾配の目安 | 角度の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 緩勾配 | 3寸未満 | 約16.7°未満 | 雨水が流れにくく、使える屋根材が限られる。屋根に上って作業しやすい |
| 並勾配(標準) | 3寸〜5寸 | 約16.7°〜26.6° | 住宅で最も多い。瓦・スレート・金属のどれも選べる |
| 急勾配 | 6寸以上 | 約31°以上 | 雨仕舞いがよく屋根裏が広いが、施工に屋根足場が要り費用が上がりやすい |
| 矩勾配(かねこうばい) | 10寸 | 45° | 高さと水平が同じ。曲尺(かねじゃく)の直角を二等分した角度 |
| 返し勾配 | 10寸を超える | 45°超 | とんがり屋根や塔屋など。寸ではなく「返し○寸」と呼ぶことがある |
6寸以上の急勾配では、職人が屋根の上で足を踏ん張れなくなるため、屋根面にも足場(屋根足場)を組むのが一般的です。塗装や葺き替えの見積もりで「勾配割増」や「屋根足場」の項目が入っていたら、勾配を確かめてみてください。
屋根材ごとに必要な勾配の目安
屋根材には、雨水を確実に流すために「これ以上の勾配で葺く」という最低勾配が決められています。最低勾配を下回ると、重なり部分から雨水が吸い上げられて雨漏りの原因になり、メーカーの保証の対象外になることもあります。代表的な目安は次のとおりです。
| 屋根材 | 最低勾配の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 粘土瓦(J形・和瓦) | 4寸以上 | 防災瓦など、製品によっては3寸前後から葺けるものもある |
| スレート(化粧スレート) | 3寸以上 | 製品によって2.5寸から。緩い勾配では重ねを大きくする |
| 金属屋根・横葺き | 2〜3寸以上 | 製品ごとの差が大きい |
| 金属屋根・立平(縦葺き) | 0.5〜1寸以上 | 継ぎ目が流れの方向に通るので緩い勾配でも使える |
| アスファルトシングル | 2.5〜3寸以上 | 緩勾配では下葺きを増やす指定がある |
| 陸屋根(防水) | 1/100〜1/50程度 | ほぼ平らに見えるが、水を流すための勾配はある |
伸び率で屋根面積・垂木・隅木の長さを出す
図面の屋根伏図や平面図に書かれているのは、真上から見た水平の長さです。実際の屋根は傾いている分だけ長くなるので、水平の長さに伸び率を掛けて斜面の長さを出します。伸び率は √(1+勾配²) で、4寸勾配なら √(1+0.4²)=1.0770 です。
- 1
屋根面積を出す
真上から見た屋根の面積(軒の出を含む水平投影面積)に伸び率を掛けます。水平投影面積が60㎡で4寸勾配なら、60×1.0770=約64.6㎡。同じ60㎡でも6寸勾配なら約70.0㎡で、塗料や屋根材の量が1割ほど増えます。
- 2
垂木の長さを出す
軒先から棟までの水平距離に伸び率を掛けます。水平距離3.0mの4寸勾配なら、3.0×1.0770=約3.23m。実際の材料は、ここに軒の出や切り代を足して用意します。
- 3
隅木の長さを出す
寄棟屋根の隅木は平面で見ると45°方向に走るので、水平の長さが √2 倍になります。そのため隅の伸び率は √(2+勾配²) で、4寸勾配なら1.4697です。桁から棟までの水平距離(平の水平距離)が3.0mなら、隅木は3.0×1.4697=約4.41mになります。
屋根の面積を坪で聞かれたときは、求めた㎡を3.3058で割ります。坪と㎡の換算は1坪は何㎡?坪と平米の換算で詳しく解説しています。
今の家の屋根勾配を調べる方法
- 図面を見る:矩計図(かなばかりず)や立面図、屋根伏図に「4/10」「4寸」のように書かれていることが多い。新築時の書類一式を探すのが最も確実です。
- 屋根裏で測る:点検口から屋根裏に入れるなら、垂木や登り梁にスマホの長い辺を当てて角度を測り、寸勾配に直せます。
- 破風板やけらばで測る:2階の窓から手が届く破風板の下端に沿わせて測る方法もあります。身を乗り出さないでください。
- 写真から読む:家を真横(妻側)から撮った写真で屋根の線の角度を分度器アプリなどで測る方法です。レンズのゆがみや撮る角度で数度ずれるので目安にとどめます。
寸勾配の換算と測定をまとめて行う
勾配・角度計(スマホ水平器)の「勾配を換算する」タブでは、寸勾配を入れると角度・%・1/n・1mあたりの mm・伸び率・隅の伸び率を一度に表示し、三角形の図で傾きを確かめられます。「高さ・長さ・スロープ」タブで水平距離か斜面の長さを入れれば、垂木の長さや棟までの高さも出せます。スマホで開けば、長い辺を垂木に当てて今の勾配を測ることもできます。
% や 1/n での換算の考え方は勾配の%と角度の換算|10%は何度?、スマホで正確に測るコツは床の傾きをスマホで測る方法で解説しています。
よくある質問
- 4寸勾配は何度ですか?
- 約21.8°です。水平に10進んで4上がる傾きなので、arctan(4÷10)≒21.80°になります。%で表すと40%、伸び率は1.0770です。
- 3寸勾配・5寸勾配・6寸勾配はそれぞれ何度ですか?
- 3寸勾配は約16.7°、5寸勾配は約26.6°、6寸勾配は約31.0°です。寸と角度は比例しないので、寸が増えるほど1寸あたりの角度の増え方は小さくなります。
- 30°の屋根は何寸勾配ですか?
- 約5.77寸です。寸=tan(角度)×10 で求めます。45°はちょうど10寸(矩勾配)、20°は約3.64寸です。
- 屋根の伸び率とは何ですか?
- 水平の長さ1に対して、斜面の長さがいくつになるかを表す係数で、√(1+勾配²) で求めます。水平投影面積に伸び率を掛けると実際の屋根面積になります。4寸勾配は1.0770、5寸勾配は1.1180です。
- 瓦屋根は何寸勾配から葺けますか?
- 一般的な粘土瓦は4寸以上が目安です。防災瓦など、製品によっては3寸前後から葺けるものもあります。屋根材ごとの最低勾配は製品の施工説明書で確かめてください。
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