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特定名称酒 8 種類の違い|純米大吟醸〜本醸造の条件と精米歩合「磨き二割三分」

純米大吟醸、吟醸、特別本醸造……日本酒のラベルに書かれたこれらの名前は「特定名称」と呼ばれ、国税庁の基準で名乗れる条件が決まっています。違いを決めているのは、精米歩合(米をどれだけ削ったか)、醸造アルコールを使うかどうか、吟醸造りかどうかの 3 つだけです。この記事では、8 種類の特定名称の条件を 1 つの表にまとめたうえで、精米歩合の意味と計算、「磨き二割三分」の読み方、醸造アルコールを加える理由、普通酒との違い、生酒・原酒などほかのラベル表示の意味、具体的な判定例までを解説します。

特定名称酒とは:8 種類の条件の一覧

特定名称酒は、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で決められた、原料や造り方の条件を満たした日本酒です。条件を満たした酒だけが「純米大吟醸酒」「本醸造酒」などの名前をラベルに書けます。名前は全部で 8 種類あり、米と米麹と水だけで造る「純米」系の 4 種類と、醸造アルコールを少し加える 4 種類に分かれます。

特定名称原料精米歩合そのほかの条件
純米大吟醸酒米・米麹・水50% 以下吟醸造り
純米吟醸酒米・米麹・水60% 以下吟醸造り
特別純米酒米・米麹・水60% 以下 または 特別な製造方法特別な点をラベルで説明
純米酒米・米麹・水条件なし(表示は必要)—
大吟醸酒米・米麹・醸造アルコール・水50% 以下吟醸造り
吟醸酒米・米麹・醸造アルコール・水60% 以下吟醸造り
特別本醸造酒米・米麹・醸造アルコール・水60% 以下 または 特別な製造方法特別な点をラベルで説明
本醸造酒米・米麹・醸造アルコール・水70% 以下—
  • 醸造アルコールを使う 4 種類は、その量が白米の重さの 10% 以下でなければなりません。
  • 8 種類すべてに共通して、麹米の割合が 15% 以上であること、農産物検査法で 3 等以上に格付けされた米(またはそれに相当する米)を使うことが条件です。
  • 特定名称酒は、ラベルに精米歩合を書くことが義務づけられています。

純米酒には以前「精米歩合 70% 以下」という条件がありましたが、2004 年の改正でなくなりました。そのため、精米歩合 80% や 90% の純米酒もあります。一方で本醸造酒は、今も精米歩合 70% 以下が必要です。

精米歩合とは:数字が小さいほどよく削っている

精米歩合は、玄米をどれだけ残したかを割合で表した数字です。玄米 100kg を磨いて白米が 60kg 残れば、精米歩合は 60% です。削った量ではなく「残った量」の割合なので、数字が小さいほどたくさん削っていることになります。

  1. 1

    精米歩合を計算する

    精米歩合(%)= 白米の重さ ÷ 玄米の重さ × 100。玄米 100kg から白米 45kg なら 45% です。

  2. 2

    削った割合を出す

    100 − 精米歩合 が削った割合です。精米歩合 45% なら 55% を削り、ぬかとして取り除いています。

  3. 3

    必要な玄米を逆算する

    白米 1kg を得るのに必要な玄米は 1 ÷ 精米歩合。精米歩合 50% なら 2kg、23% なら約 4.35kg の玄米が要ります。

ふだん家庭で食べる白米の精米歩合は 90% 前後です。日本酒造りではそれよりずっと多く削るのが一般的で、本醸造で 70% 前後、吟醸で 60% 前後、大吟醸では 50% から、40% や 35% まで磨くこともあります。米粒の外側に多いたんぱく質や脂質は、雑味や香りの重さの原因になるため、削るほどすっきりとした、華やかな香りの酒になりやすいのです。

「磨き二割三分」の読み方と意味

日本酒の名前やラベルには、精米歩合を「磨き◯割◯分」と書くことがあります。これは精米歩合を割・分・厘の言い方にしたもので、「割」が 10%、「分」が 1%、「厘」が 0.1% にあたります。「磨き二割三分」は精米歩合 23%、つまり米の 77% を削り、中心の 23% だけを残したという意味です。

精米歩合磨きの言い方削った割合白米 1kg に必要な玄米
70%磨き七割30%約 1.43kg
60%磨き六割40%約 1.67kg
50%磨き五割50%2kg
45%磨き四割五分55%約 2.22kg
39%磨き三割九分61%約 2.56kg
35%磨き三割五分65%約 2.86kg
23%磨き二割三分77%約 4.35kg

ここで間違えやすいのが「割」の向きです。「二割三分」と聞くと 23% 削ったように感じますが、残っている割合が 23% です。精米歩合 23% まで磨くには、米が割れないようにゆっくり削る必要があり、精米だけで数日かかると言われます。それだけ手間と米が必要になるので、精米歩合の低い酒は値段も高くなります。

醸造アルコールを加える理由と普通酒との違い

醸造アルコールは、サトウキビなどから造った純度の高いアルコールです。「アルコールを足すのは水増しでは」と思われがちですが、特定名称酒で使うのはごく少量で、目的は量を増やすことではありません。

  • 香りを引き出す:吟醸香の成分はアルコールに溶けやすく、搾る前に少し加えると香りが酒に残りやすくなります。大吟醸に醸造アルコールを使う蔵が多いのはこのためです。
  • 味をすっきりさせる:軽く、キレのある口当たりになります。
  • 品質を安定させる:江戸時代には、腐敗を防ぐために焼酎を加える「柱焼酎」という技法がありました。

醸造アルコールが白米の重さの 10% を超える酒や、糖類・酸味料などを加えた酒、精米歩合が 70% を超えるのに醸造アルコールを使った酒、3 等以上の米を使っていない酒は、特定名称を名乗れず「普通酒」になります。普通酒は品質が劣るという意味ではなく、価格を抑えた晩酌向けの酒や、地元で長く愛されている酒も多くあります。なお、かつて量を増やすために造られた「三倍増醸酒」は、2006 年の酒税法改正で清酒と名乗れなくなっています。

名乗れる特定名称の判定例

条件を満たす名前が複数あるときは、上位の名前から名乗れます。たとえば精米歩合 45% の純米酒は純米大吟醸酒の条件を満たしますが、蔵の判断で「純米吟醸酒」や「純米酒」と名乗ることもできます。主な組み合わせの判定は次のとおりです。

精米歩合醸造アルコール吟醸造り名乗れる特定名称
45%使わないする純米大吟醸酒・純米吟醸酒・特別純米酒・純米酒
55%使わないする純米吟醸酒・特別純米酒・純米酒
55%使わないしない特別純米酒・純米酒
50%10% 以下する大吟醸酒・吟醸酒・特別本醸造酒・本醸造酒
65%10% 以下する本醸造酒
75%使わない—純米酒
75%10% 以下—普通酒(本醸造は 70% 以下が必要)
50%10% を超えるする普通酒

表の 3 行目のように、精米歩合が 60% 以下でも吟醸造り(低い温度でゆっくり発酵させ、吟醸香を引き出す造り)でなければ「吟醸」は名乗れません。日本酒度・酸度から甘辛度 計算ツールの「特定名称・精米歩合」タブでは、精米歩合と醸造アルコール、吟醸造りかどうかを選ぶだけで、名乗れる名前と「磨き◯割◯分」の言い方がわかります。

生酒・原酒・生詰めなど、ほかのラベル表示の意味

特定名称とは別に、ラベルには造り方や保存のしかたを表す言葉もよく書かれています。これらは特定名称と組み合わせて使われ、「純米吟醸 生原酒」のように並ぶことがあります。

表示意味味・扱いの特徴
生酒(なまざけ)加熱殺菌(火入れ)を一度もしないフレッシュで華やか。要冷蔵
生貯蔵酒火入れせずに貯蔵し、出荷前に 1 回火入れ生のような爽やかさが残る
生詰酒貯蔵前に 1 回火入れし、出荷前はしない「ひやおろし」に多い。まろやか
原酒搾ったあとに水を加えない(アルコール分 1% 未満の加水は可)度数が 17〜20 度と高く、濃い
樽酒木の樽で貯蔵し、木の香りを付けた酒杉の香りがすがすがしい
山廃・生酛酒母を自然の乳酸菌の力で造る昔ながらの方法酸度が高めで、濃醇な味になりやすい

原酒は度数が高いので、日本酒度がプラスに出やすく、飲む量あたりの純アルコールも多くなります。水で割って飲むときの水の量は日本酒 1 合の純アルコール量と、原酒の割り水の計算で解説しています。山廃・生酛の酒の甘辛の読み方は甘辛度・濃淡度の解説を参考にしてください。

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よくある質問

純米大吟醸と純米吟醸の違いは何ですか?
精米歩合の条件だけが違います。どちらも米・米麹・水だけで吟醸造りをした酒で、精米歩合 50% 以下なら純米大吟醸酒、60% 以下なら純米吟醸酒を名乗れます。大吟醸のほうがよく磨いているぶん、雑味が少なく香りが華やかになりやすい傾向があります。
精米歩合 60% とはどういう意味ですか?
玄米の重さのうち 60% が白米として残っている、つまり外側の 40% を削ったという意味です。数字が小さいほどよく削っています。精米歩合 60% 以下で吟醸造りなら吟醸酒(純米なら純米吟醸酒)を名乗れます。
磨き二割三分とは何ですか?
精米歩合 23% のことです。割が 10%、分が 1% を表すので、二割三分は 23%。米の外側 77% を削って、中心の 23% だけで造ったという意味です。白米 1kg を得るのに約 4.35kg の玄米が必要になります。
本醸造と特別本醸造の違いは何ですか?
本醸造酒は精米歩合 70% 以下、特別本醸造酒は精米歩合 60% 以下か「特別な製造方法」で造った酒です。特別な製造方法の場合は、その内容をラベルで説明する必要があります。どちらも醸造アルコールは白米の重さの 10% 以下です。
普通酒と特定名称酒の違いは何ですか?
特定名称の条件を満たさない清酒が普通酒です。醸造アルコールが白米の重さの 10% を超える、糖類などを加える、醸造アルコールを使っていて精米歩合が 70% を超える、麹米が 15% 未満、3 等以上の米を使わない、のいずれかに当てはまると普通酒になります。

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