停電に備えるポータブル電源は何Wh必要?|冷蔵庫・電気毛布・スマホで何日もつかの計算と容量の選び方
台風や地震で停電したとき、ポータブル電源があればスマホの充電や明かり、冷蔵庫まで動かせます。ただ、売り場には 300Wh から 3,000Wh 以上まで並んでいて、「うちには何 Wh あれば何日もつのか」はカタログを見ても分かりません。この記事では、停電が実際にどのくらい続いたかの例から備える日数を決め、スマホと明かりだけ・冬の電気毛布・冷蔵庫も動かす・CPAP の4つの使い方で、1日に使う電力量と必要な容量を計算します。冷蔵庫を動かすときの定格出力と瞬間最大出力、ソーラーパネルと車での充電、エアコンや電気ケトルが使えるか、普段の保管のしかたと停電中に気をつけることまで、数字つきでまとめます。
結論:スマホと明かりなら 1,000Wh で3日以上。冷蔵庫も動かすなら 2,000Wh でも1日半
停電用のポータブル電源の容量は、「何を動かすか」でまったく変わります。スマホ・明かり・Wi-Fi ルーターだけなら1日 230Wh ほどですが、冷蔵庫を加えると1日 1,200Wh を超え、5倍以上になります。この記事の4つの使い方で計算した結果は次のとおりです(AC 出力の変換効率 85%、使い切らずに 10% 残す前提)。
| 使い方 | 1日に使う電力量 | 1日分に必要な容量 | 3日分に必要な容量 | 1,000Wh で何日もつか |
|---|---|---|---|---|
| スマホ・明かり・Wi-Fi | 228Wh | 約 300Wh | 約 900Wh → 1,000Wh クラス | 約 3.7日 |
| 冬の在宅避難(電気毛布2枚) | 676Wh | 約 880Wh → 1,000Wh クラス | 約 2,650Wh → 3,000Wh クラス | 約 1.3日 |
| 冷蔵庫も動かす | 1,236Wh | 約 1,620Wh → 2,000Wh クラス | 約 4,850Wh(ソーラー併用が前提) | 約 0.7日(約 16時間) |
| CPAP と スマホ | 310Wh | 約 410Wh → 500Wh クラス | 約 1,220Wh → 1,500Wh クラス | 約 2.7日 |
- 「とりあえず連絡と明かり」なら 500〜1,000Wh で2〜3日分になる
- 冷蔵庫を止めたくないなら 2,000Wh 以上か、ソーラーパネル(晴れの日に 500W 前後)で毎日足すことが前提になる
- 冬は電気毛布、夏は扇風機と、季節で必要な量が変わる。寒さで電池の使える量も減るので、計算より 2〜3 割大きめを選ぶ
以下では、何日分を備えるか、使い方ごとの計算の中身、冷蔵庫を動かすための出力の条件、停電中の充電、保管と安全の順に説明します。数字は、ポータブル電源 何時間使える?計算ツールと同じ計算で確かめたものです。
停電は何日続く?過去の大きな停電から備える日数を決める
容量を決める前に、「何日分を備えるか」を決めておきます。日本の停電は多くが数時間で戻りますが、大きな災害では数日から数週間続いた例があります。
| 災害 | 停電の規模 | 戻るまでの期間 |
|---|---|---|
| 2018年 北海道胆振東部地震 | 北海道のほぼ全域(約295万戸)が一斉に停電(ブラックアウト) | 約2日でおおむね復旧 |
| 2019年 房総半島台風(台風15号) | 千葉県を中心に最大約93万戸 | 倒木や電柱の被害で、2週間以上かかった地域もあった |
| 2024年 能登半島地震 | 石川県を中心に最大約4万戸 | 道路が寸断された地域では1か月近く続いた |
食料や水の備蓄は「最低3日分、できれば1週間分」が目安とされています。電気も同じ考え方で、まず3日分を基本にし、台風の通り道や山あいなど復旧に時間がかかりそうな地域では、ソーラーパネルで足しながら1週間をしのぐ計画にすると現実的です。電気が戻っても、自宅が無事なら避難所に行かずに暮らす「在宅避難」の期間が長くなることも考えておきます。
使い方別:1日に使う電力量と必要な容量の計算
1日に使う電力量(Wh)は、家電ごとの「消費電力(W)× 1日に使う時間(h)× 台数」を足して出します。必要な容量は、それに日数をかけ、変換効率と残しておく分で割ります。
| 家電 | 消費電力 | 1日に使う時間 | 1日の電力量 |
|---|---|---|---|
| スマホの充電(1台) | 15W | 2時間 | 30Wh |
| LED 電球(60W 形) | 8W | 6時間 | 48Wh |
| Wi-Fi ルーター | 10W | 12時間(夜は切る) | 120Wh |
| 扇風機(DC モーター) | 15W | 8時間 | 120Wh |
| 電気毛布(1枚) | 平均 25W(強で 55W) | 8時間 | 200Wh |
| 冷蔵庫(400L 前後) | 平均 35W(動いているとき 150W) | 24時間 | 840Wh |
| CPAP(加湿器なし) | 40W | 7時間 | 280Wh |
| 液晶テレビ(32型) | 50W | 3時間 | 150Wh |
冷蔵庫や電気毛布は、温度を保つために ON と OFF をくり返すので、動いているときの消費電力ではなく平均で計算します。冷蔵庫の平均 35W は、年間消費電力量 約 300kWh を1年の 8,760 時間で割った値です。カタログの年間消費電力量が分かれば、自分の冷蔵庫の数字に置き換えられます。
- スマホ・明かり・Wi-Fi:スマホ2台(60Wh)+ LED 電球1つ(48Wh)+ ルーター12時間(120Wh)= 228Wh。意外に多いのがルーターで、24時間つけると 240Wh と、これだけで半分を超える
- 冬の在宅避難:電気毛布2枚(400Wh)+ LED 電球2つ(96Wh)+ スマホ2台(60Wh)+ ルーター12時間(120Wh)= 676Wh
- 冷蔵庫も動かす:冷蔵庫(840Wh)+ LED 電球2つ(96Wh)+ スマホ2台(60Wh)+ ルーター12時間(120Wh)+ DC 扇風機(120Wh)= 1,236Wh
- CPAP:CPAP 7時間(280Wh)+ スマホ1台(30Wh)= 310Wh
| 使い方(1日の電力量) | 500Wh | 1,000Wh | 2,000Wh |
|---|---|---|---|
| スマホ・明かり・Wi-Fi(228Wh) | 約 1.9日 | 約 3.7日 | 約 7.5日 |
| 冬の在宅避難(676Wh) | 約 0.6日 | 約 1.3日 | 約 2.5日 |
| 冷蔵庫も動かす(1,236Wh) | 約 0.3日 | 約 0.7日 | 約 1.4日 |
| CPAP とスマホ(310Wh) | 約 1.4日 | 約 2.7日 | 約 5.5日 |
表の日数は、容量 × 0.85 ÷ 1日の電力量で出した「使い切るまで」の日数です。暑い日に冷蔵庫の扉をよく開ける、寒い部屋に置いて電池が冷える、といった条件では短くなります。家電の消費電力そのものの見方は電気代の計算方法で、W と Wh の違いから説明しています。
冷蔵庫を動かすには:定格出力・瞬間最大出力と、止めても食品がもつ時間
冷蔵庫は、停電で一番困る家電であり、ポータブル電源にとって一番負担の大きい家電でもあります。容量のほかに、出力の条件を2つ確かめます。
| 確かめること | 冷蔵庫(400L 前後)の目安 | 選び方 |
|---|---|---|
| 定格出力(同時に使い続けられる上限) | 動いているとき 150W 前後 | ほかの家電と合わせて 500W 以上あれば余裕がある |
| 瞬間最大出力(動き始めの一瞬の上限) | コンプレッサーの動き始めは消費電力の数倍(3倍なら約 450W) | 1,000W 以上の機種なら安心 |
| 出力の波形 | モーターの家電は波形の乱れに弱い | 「純正弦波」と書かれた機種を選ぶ |
最近の 1,000Wh クラスなら、多くが定格出力 1,000W 以上・純正弦波なので、冷蔵庫を動かすこと自体はできます。問題は容量のほうで、冷蔵庫だけを動かしても 1,000Wh で約 24 時間、2,000Wh で約 48 時間です。
一方で、冷蔵庫は電気が止まってもすぐに中が温まるわけではありません。アメリカ農務省(USDA)の目安では、扉を閉めたままなら冷蔵室は約4時間、いっぱいに詰まった冷凍庫は約 48 時間(半分なら約 24 時間)、食品を安全な温度に保てます。
- 停電が数時間なら、扉を開けずに待つだけでよい。ポータブル電源は停電が半日を超えそうになってから使う
- 長引きそうなら、冷蔵室の傷みやすいものを冷凍庫やクーラーボックス(保冷剤)に移し、冷蔵庫の温度設定を「弱」にしてから動かす
- 普段から凍らせたペットボトルや保冷剤を冷凍庫に入れておくと、停電中の保冷剤になり、冷凍庫のもちもよくなる
- 延長コードは、冷蔵庫の消費電力に耐えられるもの(1,500W 対応など)を、ポータブル電源のすぐそばで使う
エアコン・電気ケトル・電子レンジは使える?定格出力で決まる家電
消費電力の大きい家電は、容量より先に定格出力で使えるかどうかが決まります。消費電力が定格出力を超えると、ポータブル電源は安全のために出力を止めます。
| 家電 | 消費電力の目安 | 必要な定格出力 | 1,000Wh で使える時間 |
|---|---|---|---|
| 電気ケトル | 1,200W | 1,500W クラス | 約 40分(1回 6分なら約 7回) |
| 電子レンジ(500W で温める) | 1,000W | 1,500W クラス | 約 50分 |
| ドライヤー | 1,200W | 1,500W クラス | 約 40分 |
| 炊飯器(3合) | 350W | 500W クラス | 約 2.4時間(1回 45分なら約 3回) |
| エアコン(6〜8畳・冷房) | 平均 400W 前後 | 1,000W 以上、動き始めに余裕 | 約 2時間 |
お湯や温めは短時間なので電力量は小さく、定格出力さえ足りれば使えます。ただ、カセットコンロがあれば電気を使わずに済むので、ポータブル電源は冷蔵庫や明かりのために残すほうが長くもちます。
停電中の充電:ソーラーパネルは何 W 要る?車のシガーソケットは何時間?
停電が長引くときは、使った分を毎日どこかで足す必要があります。電気が来ていない間の充電手段は、ソーラーパネルと車の2つです。
| 使い方(電池から出す量/日) | 夏の晴れ(5時間) | 春・秋の晴れ(4時間) | 冬の晴れ(3時間) |
|---|---|---|---|
| スマホ・明かり・Wi-Fi(268Wh) | 約 80W | 約 100W | 約 130W |
| 冬の在宅避難(795Wh) | 約 230W | 約 280W | 約 380W |
| 冷蔵庫も動かす(1,454Wh) | 約 420W | 約 520W | 約 690W |
| CPAP とスマホ(365Wh) | 約 100W | 約 130W | 約 170W |
表は、その使い方を毎日ソーラーだけで賄うのに必要なパネルの W です(電池から出す量は、1日の電力量を変換効率 0.85 で割った値)。スマホと明かりなら 100〜200W のパネル1枚で足りますが、冷蔵庫まで賄うには 400W 以上が必要で、くもりや雨の日は追いつきません。晴れた日に満充電に近づけ、天気の悪い日は電池で乗り切る、と考えるのが現実的です。
- 車のシガーソケット(12V で 8A 前後=約 96W):1,000Wh を 20% から満充電まで約 9 時間、空からなら約 12 時間。エンジンをかけたまま充電する
- 雪の日や車庫の中でエンジンをかけ続けると、排気ガスが車内や家に入り一酸化炭素中毒になるおそれがある。マフラーのまわりの雪をどけ、風通しのよい屋外で行う
- 電気が戻ったら AC コンセントで一気に充電する。600W で入る機種なら 1,000Wh を 20% から満充電まで約 1.5 時間、満充電の電気代は 1,000Wh で約 34 円
普段の保管と、停電中に気をつけること
ポータブル電源は、買ってしまっておくだけでは、いざというときに残量が足りないことがあります。使わなくても電池は少しずつ減るので、防災用は次のように管理します。
- 1
3か月に1回、残量を確かめる
季節の変わり目や、防災用品の点検日に合わせると忘れにくくなります。長くしまうときの残量は機種によって勧められる値が違う(50〜80% 前後が多い)ので、説明書に従います。
- 2
台風の予報や警報が出たら満充電にする
停電が予想できる台風は、前日のうちに満充電にしておくチャンスです。スマホやモバイルバッテリーも一緒に充電します。
- 3
年に1回は実際に家電をつないでみる
冷蔵庫やエアコンが本当に動くか、延長コードは足りるか、ソーラーパネルの広げ方を家族が分かるかを確かめます。
- 4
高温の場所に置かない
夏の車内や直射日光の当たる場所は電池を傷めます。涼しく乾いた室内に置きます。
- ポータブル電源を家の壁のコンセントにつないで、家全体に電気を送ろうとしない。差し込み口が両方オスのコードを使うと、感電や火災のもとになり、復旧作業をする人にも危険が及ぶ
- ポータブル電源は排気ガスが出ないので、室内で使える。ガソリンやカセットボンベの発電機は一酸化炭素が出るので、屋内や車庫では使わない
- 避難で家を離れるときはブレーカーを落とす。電気が戻ったときに、倒れた電気ストーブなどから火が出る「通電火災」を防ぐため
- CPAP や在宅酸素などの医療機器は、使えるポータブル電源の条件(出力・波形・UPS 機能)を、機器のメーカーや主治医に確かめておく
電池の寿命も選ぶときのポイントです。最近の主流のリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)は 3,000〜4,000 回の充電で容量が 70〜80% に落ちる程度と長持ちで、年に数回しか使わない防災用なら、電池の寿命より先に本体の故障や買い替えを考える時期が来ます。古い機種に多い三元系は 500〜1,000 回で 80% 程度になります。
ポータブル電源 何時間使える?計算ツールで自分の家に合わせて計算する
この記事の数字は家電の消費電力を目安で置いたものです。自分の家の冷蔵庫や使い方に合わせるには、ポータブル電源 何時間使える?計算ツールで計算し直すのが確実です。
- 1
「停電(冷蔵庫・照明・スマホ)」を選ぶ
冷蔵庫・LED 電球2つ・スマホ2台・Wi-Fi ルーター・テレビが入ります。いらない家電は消し、電気毛布や扇風機を足します。
- 2
消費電力と使う時間を自分の家に合わせる
冷蔵庫はカタログの年間消費電力量(kWh)÷ 8,760 × 1,000 で平均の W に直して入れます。ルーターを夜に切るなら12時間にします。
- 3
「何 Wh のポータブル電源が必要か」で日数を入れる
3日、残しておく分 10% などと入れると、必要な容量と、同時に使う家電に必要な定格出力が出ます。
- 4
「充電時間」タブでソーラーパネルを確かめる
パネルの W と季節を選ぶと、1日に入る量と、毎日の分を賄うのに必要なパネルの W が分かります。
計算は端末の中だけで行い、入力した内容はどこにも送りません。冬の車中泊やキャンプで使うときも、同じツールの使い方プリセットで確かめられます。
よくある質問
- 停電に備えるポータブル電源は何 Wh あればいいですか?
- スマホ・明かり・Wi-Fi だけなら、1日約 230Wh なので 1,000Wh で3日以上もちます。冬に電気毛布を使うなら 1,000Wh で1日余り、冷蔵庫も動かすなら1日約 1,240Wh 使うため 2,000Wh でも約1日半です。3日分を目安に、冷蔵庫を動かすならソーラーパネルとの組み合わせを考えてください。
- 1,000Wh のポータブル電源で冷蔵庫は何時間動きますか?
- 400L 前後の冷蔵庫(平均 35W)だけなら約 24 時間です。明かりやスマホ、ルーター、扇風機も一緒に使うと約 16 時間に縮みます。扉の開け閉めが多い夏はさらに短くなります。
- 停電したら冷蔵庫の中身は何時間もちますか?
- アメリカ農務省(USDA)の目安では、扉を閉めたままなら冷蔵室は約4時間、いっぱいに詰まった冷凍庫は約 48 時間(半分なら約 24 時間)です。停電が短いうちは扉を開けずに待ち、長引きそうになってからポータブル電源で動かすと電池を節約できます。
- ポータブル電源でエアコンは使えますか?
- 定格出力が十分にある機種なら、100V の 6〜8 畳用エアコンは動かせることが多いですが、冷房で平均 400W 前後使うので 1,000Wh で約2時間、2,000Wh で約4時間です。200V のエアコンは使えない機種がほとんどです。暑さのピークや寝る前に絞って使い、あとは扇風機で過ごすのが現実的です。
- 停電中にソーラーパネルで充電するには何 W のパネルが要りますか?
- 1日に入る量は「パネルの W × 0.7 × 晴れた日の日照時間(ピークサンアワー)」が目安です。スマホと明かりだけなら春・秋の晴れで 100W 前後、冷蔵庫まで賄うなら 500W 前後が必要です。くもりの日は晴れの3〜4分の1ほどしか入りません。
- 防災用のポータブル電源はどうやって保管すればいいですか?
- 涼しく乾いた室内に置き、3か月に1回は残量を確かめます。長くしまうときの残量は機種ごとに勧められる値が違うので説明書に従い、台風の予報が出たら満充電にしておきます。年に1回は冷蔵庫などを実際につないで、動くかどうかを確かめておくと安心です。
- ポータブル電源を家のコンセントにつないで家中に電気を送れますか?
- できません。両方がオスのコードで壁のコンセントにつなぐのは、感電や火災のもとになり、電線で作業する人にも危険です。使いたい家電を、ポータブル電源のコンセントに直接、または延長コードでつないでください。
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