三味線の本数の調べ方|曲のキーから本数に変換・声に合う本数の見つけ方
「この曲、何本で弾けばいい?」「カラオケのキーを本数に直すと?」。三味線や民謡を始めると、曲や声に合った本数を自分で決める場面が出てきます。この記事では、曲のキー(C・D など)と本数の変換表、音源や歌から本数を調べる手順、男性・女性の本数の目安と自分の声に合う本数の探し方、本数を上げ下げする考え方、調子笛の使い方と代わりになる方法、440Hz と 442Hz の違いまでをまとめます。
本数とキーの関係
本数は一の糸の高さを表し、一本=A(ラ)から半音ずつ上がります。洋楽のキー(調)とは似ていますが、まったく同じものではありません。本数が表しているのは「一の糸の音」で、曲の主音(いちばん落ち着く音)が一の糸と同じとは限らないからです。
それでも民謡などでは、曲の最後に落ち着く音(終止音)が一の糸の音になる曲が多く、「曲の最後の音=本数の音」と考えると目安がつきます。調子によっては二の糸や三の糸の音で終わる曲もあるので、楽譜や先生の指定があればそちらを優先してください。
キー(音名)と本数の変換表
音名から本数に直すときは次の表を使います。カラオケや楽譜で「キー C」「原曲 E♭」のように書かれているときも、その音名を一の糸の音とみなして本数に置きかえられます(曲の主音が一の糸になる場合)。
| 音名 | ドレミ | 本数 | メモ |
|---|---|---|---|
| A | ラ | 一本 | 本数の基準 |
| A♯・B♭ | ラ♯・シ♭ | 二本 | |
| B | シ | 三本 | |
| C | ド | 四本 | ピアノのドと同じ音名 |
| C♯・D♭ | ド♯・レ♭ | 五本 | |
| D | レ | 六本 | |
| D♯・E♭ | レ♯・ミ♭ | 七本 | |
| E | ミ | 八本 | |
| F | ファ | 九本 | |
| F♯・G♭ | ファ♯・ソ♭ | 十本 | |
| G | ソ | 十一本 | |
| G♯・A♭ | ソ♯・ラ♭ | 十二本 |
短調(マイナーキー)の曲は、「Am」なら A を一本と読むのではなく、実際に曲が落ち着く音や、三味線で弾いたときの終わりの音で考えます。キー表記と本数が合わないと感じたら、次の手順で実際の音から調べるのが確実です。曲のキーそのものの見分け方はコード進行からキーを判定する方法が参考になります。
音源や歌から本数を調べる手順
- 1
曲の最後の音を確かめる
音源を最後まで聞き、伴奏と歌がいちばん落ち着く音(終止音)をつかみます。何度か口ずさんで、その音を伸ばして歌えるようにします。
- 2
チューナーに聞かせる
和楽器チューナーで三味線を選んで「マイクで合わせる」を押し、その音を歌うか、音源の最後の音を流します。
- 3
表示された本数を読む
聞こえた音の音名と、それが何本にあたるかが表示され、本数の早見表にも色が付きます。
- 4
実際に弾いて確かめる
その本数で調弦し、曲の最初と最後を弾き歌いしてみます。違和感があれば1本上下させて比べます。
音源を流すときは、スマホのスピーカーとチューナーのマイクが同じ端末だと拾いにくいことがあります。別の端末やパソコンで音源を流し、チューナーを開いたスマホを近づけると安定します。伴奏の和音が厚い部分より、歌だけが伸びている部分や、三味線の音だけが鳴っている部分を聞かせると判定しやすくなります。
男性・女性の本数の目安と、声に合う本数の探し方
民謡では、同じ曲でも歌い手に合わせて本数を変えるのが当たり前です。目安としては、男性は三〜六本、女性は六〜九本くらいがよく使われるといわれますが、声の高さや曲の音域で大きく変わります。
| 声のタイプ | 本数の目安 | 一の糸の音 |
|---|---|---|
| 低めの男声 | 三〜四本 | B〜C |
| 高めの男声 | 四〜六本 | C〜D |
| 低めの女声 | 六〜七本 | D〜E♭ |
| 高めの女声 | 七〜九本 | E♭〜F |
- 曲でいちばん高い音を、のどを締めずに出せるか確かめる。苦しければ1本下げる
- 曲でいちばん低い音が、声がかすれずに出るか確かめる。出なければ1本上げる
- 高い音と低い音の両方が楽に出る本数が、その曲での自分の本数
- 同じ人でも曲によって合う本数は変わる。曲ごとにメモしておくと便利
男性の曲を女性が歌う、あるいはその逆のときは、本数を5本前後動かすことが多くなります(半音5つ=完全4度)。たとえば男性が四本(C)で歌う曲を女性が歌うなら、八本(E)〜九本(F)あたりから試してみてください。移調の考え方そのものはコード移調のやり方とも共通です。
調子笛の使い方と、代わりになる方法
調子笛は、本数ごとの音が出る小さな笛を束ねた道具です。吹き口に本数が書かれていて、合わせたい本数の笛を吹き、その音に一の糸を合わせます。チューナーと違って「自分の耳で合わせる」道具なので、音感を鍛える練習にもなります。
- 1
本数の笛を吹く
一の糸を合わせる本数の笛を、強すぎない息でまっすぐ吹きます。強く吹くと音が上ずることがあります。
- 2
一の糸を合わせる
笛の音と一の糸を交互に、または同時に鳴らし、うなりがなくなるところで止めます。笛の音と一の糸はオクターブが違うことが多いですが、音名がそろえば問題ありません。
- 3
二の糸・三の糸は一の糸から合わせる
一の糸が決まったら、調子(本調子・二上り・三下り)に合わせて三の糸、二の糸を合わせます。
調子笛を忘れた・持っていないときは、和楽器チューナーで代わりができます。三味線と本数を選んで一の糸のボタンを押すと、倍音を足した基準の音が鳴ります。「音を鳴らし続ける」をオンにすると鳴らしっぱなしにできるので、両手で糸巻きを回しながら音を比べられます。もちろん、マイクで聞かせて針で合わせることもできます。調子ごとの合わせ方は本調子・二上り・三下りの違いと調弦のやり方を参照してください。
440Hz と 442Hz、どちらで合わせる?
本数の音の高さは、基準の A4(ラ)を何 Hz にするかで少し変わります。一般的なチューナーは 440Hz が標準ですが、合奏やオーケストラでは 442Hz がよく使われ、調子笛にも 440Hz 用と 442Hz 用があります。
| 本数 | 一の糸(440Hz基準) | 一の糸(442Hz基準) |
|---|---|---|
| 三本(B) | 123.5Hz | 124.0Hz |
| 四本(C) | 130.8Hz | 131.4Hz |
| 六本(D) | 146.8Hz | 147.5Hz |
| 八本(E) | 164.8Hz | 165.6Hz |
440Hz と 442Hz の差は約 7.9 セント(半音の約 8%)です。1人で弾くぶんにはほとんど気になりませんが、ほかの楽器と同時に鳴らすと、うなりとして聞こえる程度の差です。合奏では先生や仲間、ピアノなどの相手に合わせ、全員で同じ基準を使いましょう。箏と合わせるときは、箏の一の絃の高さと三味線の本数の関係を箏(琴)の平調子の調弦で確かめておくと便利です。和楽器チューナーでは基準の A4 を 438〜444Hz から 1Hz 刻みで選べます。
よくある質問
- キー C は三味線の何本ですか?
- 四本です。C(ド)の一の糸が四本にあたります。同じように D は六本、E は八本、F は九本、G は十一本、A は一本です。
- 自分の声に合う本数はどう調べますか?
- 曲のいちばん高い音と低い音が、どちらも無理なく出る本数を探します。苦しければ1本下げ、低くて出なければ1本上げて比べます。目安として男性は三〜六本、女性は六〜九本くらいが多いといわれますが、曲や声で変わります。
- 音源の曲が何本か調べる方法はありますか?
- 曲の最後に落ち着く音を歌うか、音源のその部分を流して、和楽器チューナーに聞かせます。聞こえた音が何本にあたるかが表示されるので、その本数で弾いて確かめます。
- 調子笛がないときはどうすればいいですか?
- スマホのブラウザで和楽器チューナーを開き、本数を選んで一の糸のボタンを押すと、調子笛の代わりに基準の音が鳴ります。マイクで聞かせて針で合わせることもできます。
- 男性の曲を女性が歌うとき、本数はどれくらい変えますか?
- 5本前後(完全4度ほど)上げることが多いです。男性が四本で歌う曲なら、女性は八本〜九本あたりから試し、高い音・低い音が楽に出るかで決めます。
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