ランドルト環の大きさと距離の計算|切れ目1.5mmの理由と3m・2.5m用の視力表の作り方
視力検査の C の字「ランドルト環」は、なんとなく描かれているわけではありません。5m 先で 1.0 の環は切れ目 1.5mm・外径 7.5mm と、視力と距離から大きさがきっちり決まっています。この仕組みが分かれば、5m の部屋がなくても 3m 用・2.5m 用の視力表を自分で作れますし、スマホの画面で視力を測る理屈も分かります。この記事では、ランドルト環の形の決まり、視角 1 分と視力の関係、距離と視力ごとの大きさの計算式と早見表、自宅用の視力表を正しい大きさで印刷する方法をまとめます。
ランドルト環とは:外径・太さ・切れ目は 5 : 1 : 1
ランドルト環は、フランスの眼科医エドモン・ランドルトが 19 世紀の終わりに考えた視力検査の記号(視標)です。ひらがなや数字の視標と違って、字を知らない子どもや外国の人でも同じ条件で測れるので、日本の眼科・学校・運転免許の検査で広く使われ、国際的な標準の視標にもなっています。
形には決まりがあり、環の太さと切れ目の幅は同じで、外側の直径(外径)はその 5 倍です。つまり外径 : 内径 : 切れ目 = 5 : 3 : 1。視力で問われているのは「切れ目の幅が見分けられるか」なので、計算ではまず切れ目の幅を求め、外径はそれを 5 倍すれば決まります。
| 部分 | 比率 | 5m・1.0 の環(理論値) | 市販の 5m 用視力表 |
|---|---|---|---|
| 切れ目の幅 | 1 | 1.45mm | 1.5mm |
| 環の太さ | 1 | 1.45mm | 1.5mm |
| 内径 | 3 | 4.36mm | 4.5mm |
| 外径 | 5 | 7.27mm | 7.5mm |
視力 1.0 とは「視角 1 分」が見分けられること
視力は、見分けられるいちばん小さな切れ目が目に対してつくる角度(視角)で決まります。1 度の 60 分の 1 を「1 分(1′)」と言い、視角 1 分の切れ目が見分けられれば視力 1.0 です。視角 2 分の切れ目でやっと分かれば 0.5、10 分なら 0.1。小数視力は「見分けられる視角(分)の逆数」になっています。
5m 先で視角 1 分になる幅は、5,000mm × tan(1′) ≒ 5,000 × 0.000291 ≒ 1.45mm です。これが「5m で 1.0 なら切れ目 1.5mm」と言われる理由で、日本の 5m 用視力表の多くは、計算しやすいように 1.5mm・外径 7.5mm に丸めて作られています。理論値より 3% ほど大きいので、同じ人が測ると市販の表のほうがわずかに見やすくなります。
距離ごとのランドルト環の大きさ早見表
大きさは距離に比例し、視力に反比例します。距離を 5m から 2.5m に半分にすれば、同じ 1.0 の環も半分の大きさで済みます。よく使う距離ごとに、1.0 の切れ目と外径、いちばん大きい 0.1 の外径をまとめました(計算値、小数第 2 位まで)。
| 距離 | 1.0 の切れ目 | 1.0 の外径 | 0.1 の外径 | 2.0 の切れ目 |
|---|---|---|---|---|
| 5m | 1.45mm | 7.27mm | 72.7mm | 0.73mm |
| 3m | 0.87mm | 4.36mm | 43.6mm | 0.44mm |
| 2.5m | 0.73mm | 3.64mm | 36.4mm | 0.36mm |
| 2m | 0.58mm | 2.91mm | 29.1mm | 0.29mm |
| 1.5m | 0.44mm | 2.18mm | 21.8mm | 0.22mm |
| 1m | 0.29mm | 1.45mm | 14.5mm | 0.15mm |
| 30cm(近見) | 0.087mm | 0.44mm | 4.4mm | 0.044mm |
ほかの視力の段は、1.0 の値を視力で割れば求まります。たとえば 3m で 0.7 なら切れ目は 0.87 ÷ 0.7 ≒ 1.25mm、0.3 なら 0.87 ÷ 0.3 ≒ 2.91mm です。視力検査(ランドルト環)ツールの「換算表・基準」タブでも、距離ごとの早見表を見られます。
画面で描くときの限界:画素より細い切れ目は描けない
スマホやパソコンの画面で環を描くときは、紙にはない制限があります。画面は小さな点(画素)の集まりなので、切れ目が画素 1〜2 個分より細くなると、正しい形で描けません。最近のスマホは画素の間隔が 0.05〜0.07mm ほどと細かいのに対し、ノートパソコンや外付けモニターは 0.15〜0.3mm ほどの粗い画面も多くあります。
- 細かい段まで測りたい:距離を延ばすと環が大きくなり、画素の粗い画面でも描けるようになる(パソコンなら 2〜3m)
- 大きな段が画面からはみ出す:距離を縮めるか、画面の大きい端末を使う(スマホで 5m だと 0.1 の外径 7.3cm が入らない)
- 画面の 1mm を合わせる:同じ「100px」でも機種によって実際の長さが違うため、カードや硬貨で実寸を合わせてから描く
視力検査(ランドルト環)ツールは、切れ目が端末の画素 2 つ分より細くなる段と、画面の短い辺の 9 割に収まらない段を自動で出さないようにしています。画面での測り方のコツは視力検査を自宅でするやり方|スマホは何メートル離れる?にまとめています。
3m 用・2.5m 用の視力表を正しい大きさで印刷する方法
5m を取れない家では、3m 用や 2.5m 用の視力表を印刷するのがいちばん手軽です。紙は画素の制限がないので、細かい段まで正確に測れます。ただし、印刷の倍率がずれると環の大きさもずれるので、次の手順で印刷します。
- 1
距離を決めて視力表を作る
ツールの「視力表を印刷」で 3m・2.5m・2m などの距離を選ぶと、その距離用の大きさで 0.1〜2.0 の環を並べた A4 縦の視力表ができます。5m 用は大きな段が入りきらないので 2 枚に分かれます。
- 2
倍率は「100%(実際のサイズ)」で印刷する
印刷画面の「用紙に合わせる」「ページに合わせて縮小」は切ります。プリンターによっては自動で 95% ほどに縮むので、倍率の設定を必ず確かめます。
- 3
10cm の線を定規で測る
紙の下にある確かめ用の線が 10cm ちょうどなら、環も正しい大きさです。9.7cm なら 3% 小さく印刷されているので、倍率を直して印刷し直します。
- 4
目の高さに貼って、距離をメジャーで測る
視力表は明るい壁に、目と同じくらいの高さで貼ります。窓の光が紙に反射しない位置を選び、床に距離の印をつけて片目ずつ測ります。
ランドルト環と、ほかの視標(ひらがな・E・アルファベット)の違い
| 視標 | よく使われる場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| ランドルト環 | 日本の眼科・学校・運転免許 | 向き(4 方向や 8 方向)だけで答えるので、字の知識に左右されない |
| E 字(タンブリング E) | 海外の子ども・字を読めない人の検査 | E の向きを答える。形はランドルト環と同じく視角 1 分の線で作る |
| アルファベット(スネレン・ETDRS) | アメリカ・イギリスなどの眼科 | 字を読み上げる。結果は 20/20 や 6/6、logMAR で書く |
| ひらがな・絵 | 幼児の検査 | 字や絵に慣れているかで結果が変わりやすい |
海外の視力表は、結果を 20/20(フィート)や 6/6(メートル)、logMAR で書くのがふつうです。日本の小数視力との換算は視力 20/20 は日本の視力でいくつ?小数視力・logMAR 換算表にまとめています。
よくある質問
- ランドルト環の切れ目はなぜ1.5mmなのですか?
- 5m 先で視角 1 分(1/60 度)になる幅がおよそ 1.45mm だからです。視角 1 分の切れ目が見分けられることを視力 1.0 と決めているので、5m 用の視力表では 1.0 の切れ目を 1.5mm(外径 7.5mm)に丸めて作るのが一般的です。
- 3m用の視力表のランドルト環の大きさは?
- 1.0 の環は切れ目 0.87mm・外径 4.36mm、0.1 の環は外径 43.6mm です。5m 用のちょうど 0.6 倍の大きさになります。ほかの段は 1.0 の値を視力で割って求めます。
- 5m用の視力表を2.5mで使うとどうなりますか?
- 環が 2 倍の大きさに見えるので、結果は実際の 2 倍に出ます。読み取れた段の数字に 2.5 ÷ 5 = 0.5 をかけると、正しい視力になります。
- 印刷した視力表の大きさが正しいか確かめる方法は?
- 定規で長さを測れる線や枠を一緒に印刷し、その長さが合っているかを見ます。ツールの視力表には 10cm の線を入れているので、10cm ちょうどなら倍率どおりです。ずれていたら、印刷画面の倍率を「100%」にして印刷し直してください。
- ランドルト環の外径と太さの比率は?
- 外径 : 内径 : 切れ目 = 5 : 3 : 1 で、環の太さは切れ目と同じ幅です。切れ目の幅が決まれば、外径はその 5 倍、内径は 3 倍になります。
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